移住・関係人口を増やすには ― 「地方で何かやりたい人」を呼び込むために
「人口を増やしたい」。地方の町なら、どこもが抱える願いです。でも、いきなり「移住してください」と呼びかけても、なかなか人は動きません。仕事、家族、住まい――暮らしを丸ごと移すのは、誰にとっても大きな決断だからです。
そこでいま、地方創生の現場で注目されているのが「関係人口」という考え方です。河津町のような町が未来をつくっていくうえで、この視点はとても大切だと、私たちウィルプロは河津町との取り組みを通じて感じています。今回は、移住と関係人口について、当事者の視点を交えて整理してみます。
関係人口とは何か
聞き慣れない言葉かもしれません。関係人口とは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来ただけの「交流人口」でもない、地域や地域の人々と継続的に多様な形で関わる人々のことを指します。よく「観光以上、移住未満」と表現されます。
たとえば、河津が好きで何度も通ってくる人。河津にルーツがあって応援したい人。副業やリモートワークで河津の事業に関わる人。祭りやイベントの運営を手伝う人。ふるさと納税で河津を支える人。こうした人たちが、すべて関係人口です。
この概念が注目されるのには理由があります。地方へ「定住してみたい」と希望する人はいても、仕事や家庭の事情で実現は難しいのが現実です。だからこそ、まずは「関わり」から始めてもらおう、という発想の転換が起きているのです。国の調査では、全国の関係人口は1,800万人を超えるとされ、地方創生の重要な担い手として位置づけられています。
なぜ「いきなり移住」ではうまくいかないのか
これまで多くの自治体は、定住人口を増やすために移住促進に力を入れてきました。けれど、他の地域から移り住んで定住することへのハードルは高く、思うような成果が出ていないケースがほとんどだと指摘されています。
考えてみれば当然です。一度も関わったことのない町に、いきなり生活の拠点を移す人は多くありません。多くの人にとって、移住は「最後の一歩」であって「最初の一歩」ではないのです。
ここに、関係人口の意義があります。関係人口として地域に何度も関わり、人とのつながりや愛着が深まっていくと、移住への心理的なハードルは自然と下がっていきます。ある調査では、関係人口のおよそ2割に移住意欲があるという結果も出ています。つまり関係人口は「将来の移住者候補」でもある、ということです。
観光客 → 関係人口 → 移住者。この流れは、ちょうど企業のマーケティングと似ています。商品を知ってもらい、ファンになってもらい、リピーターになってもらう――その地域版だと考えると、しっくりくるかもしれません。
河津町という土俵で考える
では、河津町に当てはめて考えてみましょう。
河津町には、年間で多くの観光客が訪れます。とくに河津桜まつりの時期には、町に大勢の人が押し寄せます。これは大きな財産です。けれど、その多くは「桜を見に来ただけ」の交流人口で、桜が終われば帰ってしまいます。町との継続的なつながりは、なかなか生まれません。
ここに、河津町の伸びしろがあります。一年に一度の来訪者を、「また来たい」「何か関わりたい」と思う関係人口へと育てていく。桜という強力な入り口を、一過性で終わらせない仕組みづくりです。
河津には、桜以外にも関わりしろが豊富にあります。七滝のある自然、温泉、わさびや柑橘といった一次産品、体験できる地域資源。これらを「見るだけ」から「関わる」へとつなげていけば、関係人口を生む土壌は十分にあります。
「河津で何かやりたい人」をどう呼び込むか
関係人口を増やすうえで鍵になるのが、「この町で何かやってみたい」と思う人を受け止める仕組みです。一般に、関係人口づくりには次のような入り口があると言われています。
副業・兼業として地域の仕事に関わる。ワーケーションで滞在しながら働く。二地域居住で都市と河津を行き来する。地域のイベントやプロジェクトの運営に参加する。地域の特産品を買って応援する。ふるさと納税で支える。
大切なのは、こうした多様な関わり方の「入り口」を用意し、関わりたい人がスムーズに地域とつながれるようにすることです。国の施策でも、地域と関係人口を仲立ちする「つなぎ手(中間支援組織)」の役割が重視されています。
そして、この「つなぎ手」こそ、ウィルプロのような地域の事業者が担える部分だと考えています。河津で何かをやりたい人と、受け入れる町や地域の人々。その間に立って、最初のつながりを設計する。それが私たちの役割です。
情報発信が、すべての入り口になる
関係人口づくりの第一歩は、実はとてもシンプルです。地域の魅力を、知ってもらうこと。
「地方で何かやってみたいが、どこがいいか分からない」と考える人に、まず河津という選択肢を知ってもらう。そのためには、SNSやウェブサイトを通じた継続的な情報発信が欠かせません。観光情報だけでなく、「河津で関わる」「河津で働く」「河津で暮らす」という、一歩踏み込んだ情報を届けることが大切です。
このブログ自体も、その試みの一つです。桜の名所としての河津だけでなく、関わりしろのある町としての河津を発信していくこと。それが、未来の関係人口、そしていつかの移住者へとつながっていくと信じています。
おわりに ― 移住の前に、まず「関わり」から
地方創生の担い手になるために、必ずしも移住は必要ではありません。まずは関係人口として、地域との関わりを深めていく。その積み重ねの先に、移住という選択肢が自然と見えてくる人もいるはずです。
河津町に興味を持ってくださった方へ。まずは一度、桜以外の季節にも足を運んでみてください。気に入ったら、次は地域のイベントに参加してみる。河津の特産品を取り寄せてみる。そんな小さな関わりが、町の未来を支える力になります。
ウィルプロは「テクノロジーで、伊豆の未来をデザインする」を掲げ、河津町と関わりたい人・企業と、地域とのつながりづくりに伴走しています。「河津で何かやってみたい」という思いをお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。


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